2009年 07月 21日
カワセミ
実家では、早速、姪が自ら飼育する"メダカ"や"クワガタ"を披露してくれた。どちらも、実家近くで捕獲したものだという。
同じ様に虫網を持って駆け回った幼少の頃の自分自身が懐かしくもあり、また、今の時代になっても僕が育んできた地に変わらぬ様相があることに安堵を覚えた。
— 木々の匂、土の匂、川の流れる音。
目前の水の中でメダカが小刻に游ぎ、おが屑の上でノコギリクワガタが這う。
東京に住んでいるとつい忘れかけてしまうこの感覚。僕にとって、無為な時間はこんな何気無い時の間によって生じるようだ。
そう言えば、帰省中に読んだ地元のローカル新聞の記事の中に、地元を流れる「鮎沢川」という川に"カワセミ"が棲んでいるという記事があった。
一地方版の何と小さなニュースだろう。けれど、その長閑さに微笑ましくもあり、不思議と悠然たる面持ちになることができた。
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そして、今回の帰省目的の一つである墓参りを行った。なぜなら、御殿場と小山の地域では、この時期は"盆"だからだ。この地域では「ミクリヤ盆」とも言われ、通年7月の月末に行われる。それは、陰暦の7月でもない時期に行われるんだ。
— 何故この時期か。
一つには、田畑の耕作もすべて終わり、春と夏、そして晩秋と年三回行っていた"養蚕"の合間の一段落した時期だったから、という所以もあるようだ。
僕は家族と共に山の中腹にある墓地を始め、幾つかの墓地を巡った。
墓前にそっと線香を置き、手を併せ終えた頃、山中の静かな霊園の中で"かっこう"の声がこだましていた。
by zeno1016trp
| 2009-07-21 00:00
| 日常のよしなしごと