人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ex-chamber music

人が一人やっと通ることができるくらいの幅だったろうか。
仄かな明るさを頼りに、 細い階段を下り、茶褐色に色付いた木製の扉をそっと開いた。

                *

其所は高円寺駅から程近い、地下のライブハウス、『高円寺ペンギンハウス』。70年-80年代の香りが漂うこのライブハウスにおいて、インディーズのバンドのライブが夜な夜な行われている。

火曜日の晩、『ex-chamber museum』というアートブログでお馴染の幕内政治さんが、ご自身のバンドのライブに招待して下さったのだ。
その名も、『ex-chamber music』。"ジャズ・ファンク"を主に演奏するバンドであることを聞いていた。
幕内さんのライブ演奏を聴くのは今回が初めてだった。

                *

梁には大きな長方形のスピーカーが二つ取り付けられ、右側の壁にはぐるぐる巻きになったコードや垂れ下がったコードが無造作に掛けられていた。
演奏スペースの両脇にはアンプや機材、ピアノが置かれ、観客席の上の古めかしいシーリングファンはくるくると回っていた。
そして横に列を為したスポットライトが、天井からステージを照らしていた。

ふと左の壁面に目を遣ると、「キース・ヘリング」らしき絵が飾られていた。背景の青いその絵は、深く渋い色彩の多いライブハウスの中に、一際映えて見えた。
柱には額に入れられたポスターの英字が、右斜め上に走っていた。このポスターの額はアクリルだろうか、映り込んだ室内のライトが混在しながらマーブリングしていた。


チューニングが始まり、室内灯が落とされ、スポットライトがステージを照らした時、ライブが始まった。演奏が始まる頃には、小さなライブハウスは多くの観客でいっぱいになっていた。

ライブは最高に格好よく、終始ノリノリだった。
アップテンポの曲からインストロのしっとりしたナンバーまで、45分ほどのライブはあっと言う間に感じられた!
幕内さんの6弦ベースも素晴らしかった。その腕前は凄いもので、正直感嘆しきりだった。

俺の体は自然と小刻にリズムをとっていた。
まるで音の振動は空気を伝って俺の身体に触れ、身体そのものが演奏音の中に融解してしまったような気持ちがした。俺自身、美術の世界へ足を踏み入れる以前は音楽一片倒だったが、その当時の記憶まで呼び起こされるものでもあった。

また機会があったら是非、音楽好きの作家を引き連れて"ex-chamber musicの音楽"を聴きにいきたいと思った。
生の演奏はいい。そして生きた音楽は本当にいい。


■ex-chamber music■
幕内政治:bass http://ex-chamber.seesaa.net/
沼直也:drums http://www.jah.ne.jp/~networld/naoyanuma/
矢吹卓:keyboards http://www.ismusic.ne.jp/t.yabuki/
by zeno1016trp | 2006-10-30 00:30 | 音楽日記