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紫陽花

つい先日、自宅の隣りの家のご主人が、突然に亡くなられた。


この話を近隣の方から聞いた時、正直、言葉が何も出てこなかった。
仕事先で倒れ、そのまま逝かれたのだという。
小学生のお子さんを二人残しての急死だった。

ご主人とは、顔を合わす機会はさほどあったわけでは無いが、遇う時はいつもご家族と一緒だったことを思い出す。
つい最近は、ジョギング姿を見掛けたばかりだった。

             *

そして今日の晩、自宅の前において、外出しようとしていた隣の奥さんに、ご主人を亡くされてから初めて遇った。
側には二人兄妹の下の子が、お母さんの横を寄り添うように立っていた。

明らかに、奥さんは憔悴しきっている様子だった。女の子にも、いつもの元気さが全く見受けられなかった。

             *

間もなくして、俺は、二人に遇ってから必死に言葉を探そうとしていることに気がついた。

親子が立ち去る間際になって、俺は女の子に「バイバイ。」と、ようやく絞り出すように声をかけることができた。
女の子はそっと会釈をしてお母さんの後ろに隠れ、そして立ち去って行った。


やがて、小さな影が見えなくなった。

             *
  
  夏もなほ 心はつきぬ あぢさゐの よひらの露に 月もすみけり  藤原俊成


空梅雨の、夜明かりに浮かんだ白い紫陽花が綺麗な夜だった。
by zeno1016trp | 2006-06-28 01:52 | 日常のよしなしごと