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花曇り

制作日。
朝から取手のアトリエに向かった。
取手の構内では鶯のさえずりが乾いた空気に軽やかに響き渡っている。

今日はアトリエを抜け出し、構内を散策して歩いた。きっかけは身近な植物を写生することだったが、歩いているうちに観察の方に夢中になってしまった。

                *

植栽実験園では「三椏(ミツマタ)」の花が咲き乱れていた。ちょうど空は淡い雲が出ており、花を下から見上げるとより一層鮮やかさを増しているように思えた。

『三椏(ミツマタ)』
□学名:Edgeworthia chrysantha
□英名:Oriental paperbush
□ジンチョウゲ科ミツマタ属
□原産:中国中南部、ヒマラヤ地方
□皮は和紙の原料として用いられる。枝が必ず三叉、すなわち三つに分岐する特徴がある。園芸品種として花の先が赤いものなどもある。
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足下にも普段は見過ごしていた植物を多く観る事が出来た。
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だいぶ時が経った頃、構内の正面玄関方面に植えられている「辛夷(コブシ)」の花が満開だったことを思い出した。
辛夷の花莟は夕景と相まみえて、まるで花蕾に内包されている美が妖艶に醸し出されているようだった。
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真に美しいと感じるものは、対象の表面から視てとることができるものだけではないことを改めて教えられているようだ。
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by zeno1016trp | 2007-03-28 00:00 | 制作日記

表札

今日は以前から頼まれていた「表札」を制作した。素材は檜材、文字は漆で書いた。制作時間は30分くらいだ。
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木札の携帯ストラップが流行しているが、僕は過去に4年程、木札に文字を書く仕事をしていたんだ。「江戸文字職人」というネーミングで渋谷の東急ハンズや歌舞伎座等で受注し、500件以上は制作依頼を受けたと思う。稀に広告にも載っていたんだ。当時から、手間がかかる「手書き」の札は少なかったように思う。
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                *

幼い頃から音楽と同様に"書"に親しんだ。そのせいだろうか、現在でも筆との相性の良さは感じる。

— 現在は乾燥待ち。もう一件依頼制作をしている看板があるので、完成したらまた日記を書こうと思う。
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by zeno1016trp | 2007-03-20 00:00

春、椿

先日、芸大日本画の学部入学試験が終了した。

準備をする側にとっては7日間の長丁場。受験生にとっても実技一次試験の2日間、実技二次試験の2日間を合わせた4日間は正念場。
早朝の寒空の下に並ぶ受験生たちを見て、改めて600人強から定員25名に残る事は大変な事だと思った。気象庁が訂正した東京の桜開化予想は、芸大の全科最終合格発表の23日だという。

この期間中、僕は眼鏡を買い変えた。とは言っても、注文をしていたものを取りに行っただけなんだけど。
メーカーはイタリア製の「POLICE」という。CMでベッカムを起用するサングラスが有名らしいが、値段とかメーカーとか気にせず、形だけで即決めしてしまった。フレームのデザインも好きだが、フレームの端のさり気無い燈色のアクセントが気に入っている。
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                *

昨日は休日。久し振りにのんびり過ごした。
午後、日暮里繊維街の問屋に基底材となる麻布を買いに出掛けた。最近は麻100%の生地がなかなか見付からない。ようやく見付けた厚めの麻生地を5m分購入した。

その後、日暮里駅を通り過ぎ、谷中墓地を抜けて上野桜木にある有名なケーキ屋「パティシエ イナムラ ショウゾウ」へ。
此所は、谷中墓地を囲む木々と閑静な住宅街に囲まれた一角に佇んでいる。決して広いとは言えない店鋪だが、パティシエ稲村省三氏のケーキを求めてどの時間帯に行っても並ぶという、"言わずと知れた"名店だ。僕自身は「並んでまで待つ」ということが出来ない性分だが、ここだけはそれが出来る。この日は1時間待ってようやく買うことが出来た!

僕は定番の「上野の山のモンブラン」を始め、ケーキを幾つか買い込んだ。外で待っている際、お店の人に差し出された"ホットチョコレート"は甘すぎず、後味もさっぱりしていて実に美味しかった。
洋菓子に詳しい妻といろいろリサーチをしているが、「パティシエ イナムラ ショウゾウ」は味、値段、デザイン、ボリュームとバランスがとてもいいと思う。でも何だかんだ言って僕は、そこそこ旨くて食べ甲斐があればいいんだけどね。
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帰り際、墓地付近の華美を競う椿の艶やかさに思わず目を奪われた。
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by zeno1016trp | 2007-03-19 11:30 | 散策日記

春愁

昨日、税務署にて確定申告を済ませてきた。この時期は毎年のように面倒に思うが、個人事業を選んだのは僕自身。領収書を整理して経費の算出、国保、生保の控除額も算出。これでようやく一年が終った感じがする。

                *

最近、仕事柄、美術の話をする機会がとても多い。お互いの制作から美術界のことまで。そこで、こんなことをよく思う。
一体、表現とは何だろう。そして絵画って何だろう。
いや、こんなことは学生の頃から考え続けてきた。けれどその問いが、今は大きなものに感じられる。

ブラックやスゴンザック、ビシエール、ジャコメッティなど、巨匠と言われる画家たちの、リアルに語った言葉を集めた本を読んでいる。その中に、スラージュのこんな一節があった。
 『画家であるべきなんてことはない。画家は画家だが、そうあるために、何かの規範に従うようなことはないんだ。(中略)とにかく、人は何かを強く感じたとき、必ず自分と同じように感じる人に出会うものなんだ。

それに、ぼくは、絵画の未来を先取りするような方法も信じない。それは、絵画の構造に釣り合った足場を建てようとする詩的な実験だとは思うが、ぼくは描きながら、自分が探しているものを知っていくんだ。』


今日、制作の合間に僕の論文の副査でもある佐藤道信先生の日本美術に関する著書を読み返していたら、あとがきに興味深い一節があった。
 『いまさら「絵画」とは「工芸」とはなんだと言ったところで、だから何だと言われると、困る。未来を考えるためですと言っても、それはこれからの話で、今にいたる足あとを確認しただけのことだ。でもそれは、親の顔を知らないで育った人が、どうしても親を捜したいというのと同じではないのか。そこからその人の“これから”が始まるのだ。』

                *

日中、作業をしていたら、親しい作家の友人から電話があった。婚約をしたというものだった。自分のことのように嬉しく思えて仕方なかった。

暦はもう3月。梅の花が咲き誇っている。
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by zeno1016trp | 2007-03-07 01:02 | 制作日記

3日は小文間植生研究部の活動日だった。

2月17日の第9回活動日は40枚程の同定木札の設置を行った。
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今回は、新たに10枚程の同定木札に樹木の名前を書いた。
札の裏面には、縦に「平成十九年二月」と筆入れ。前々回、墨の定着が良くなかったこともあり、今回は日本酒で墨を摺った。
後半は実験園において「エンジュ」の苗木の定植。高木になるエンジュは距離をあけて植え付けを行った。
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『槐(エンジュ)』  
□学名:Sophora japonica
□マメ科クララ属 
□原産:中国
□花期:7~8月 
□路樹や庭木として植えられる。葉は奇数羽状複葉で互生する落葉高木。樹高10~20メ−トルの大樹になる。
□花の蕾(つぼみ)を乾燥させたものは槐花米・槐米といわれ、中国では古くから重要な染料とされていた。黄紙や官吏が着る絹の礼服などを染めるのに用いた。樹皮は栗色染料。
□若葉はゆでて食べられ、お茶の代用にも使われた。薬用としても用いた。平安時代に"恵爾須"の和名があてられた記述が残っている。
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by zeno1016trp | 2007-03-07 00:00 | 植生日記