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観賞メモ

先日、銀座のギャラリーを巡った。
二人の友人がそれぞれ個展を開催していたからだ。メトロ東銀座駅で下車して、始めに晴海通りを渡った5丁目の画廊で開催している友人の会場に行き、その後もう一人の友人が開催している昭和通り沿いの画廊に行った。
人の展示を見ることは、自分自身の活動源ともなる。 特に同世代作家の展示を見ることは、とても刺激になる。

俺は、銀座には週に1度、多い時は2度3度足を運ぶ。
銀座は、東京では最も画廊が集中した街でもあり、その数は100を超える。これでも不況、高い家賃の影響によって、移転などで減少している数だ。かつては画廊数が400近く存在したらしい。
画廊にはそれぞれ取り扱う分野があり、個々のカラーを持っている。オーナーの人間性も画廊の特徴に表れているとも言えるかもしれない。作家の作品と同時に、そういう違いを観ることも面白い。
銀座という街は、400年もの年月を遡る歴史があるらしい。 明治の頃からは、新聞、出版関係の会社が多く集まり、情報の発信地になったようだ。現在も多くの出版会社が存在する。現在は多くのブランド店舗が立ち並ぶ。文化とジャーナリズムとトレンドという、「ハイ」と「ロー」と「サブ」の混在した街だろう。

話変わって、先日、新宿にある佐藤美術館の「岡村桂三郎展」に足を運んだ。ちょうどギャラリートークがあった日だ。美術界をパワフルに牽引する作家だ。俺の大学の先輩でもある。
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岡村先生の作品群は、地に根ざしたような「もの」と化していた。決して単なる物体としての「もの」ではない。作品が林立する空間は、まるで迷宮に入り込んだかのような感覚になった。観者への見せ方、取り込み方を始め、あまりに学ぶべきことが多かった。
表現を行うとき、日本的なものを意識しているのかどうか訪ねてみた。先生は、日本そのものはあまり意識していないが、風土や環境、—例えば湿度など、そういったものを意識しているし大切にしていると言われた。
表現とは何か、絵を描くこととは何か、改めて考えさせられたように思う。

もう一つ展覧会を取り挙げたい。東京都美術館で開催しているバーク・コレクション展だ。アメリカの日本美術コレクターであるバーク財団のコレクション展である。 日本美術に関心があり、異国の視点で収集している財団だ。海外の日本美術に対する見方や視点、好みの一端をかいま見ることができる展示だと思う。

展覧会場は、絵画、彫刻、陶器など多くの作品が展示されていた。全くの無名画僧の軸物も多く並んでいて、日本の美術館であまり見ることができないものもあるから面白い。
必ずしも国宝や重要文化財レベルだけが優れているとは限らないとよく思うが、このようにバーク・コレクションの無名や不明の作品を目にすることで、その他の作品群の質の高さも実際に知ることができる。

美術分野だけだとは限らないが、歴史的背景、政治的背景によって影響を受けた時代もある。自分たちが見ているもの、または見せられているものだけが全てではないということを自覚せねばならない。
by zeno1016trp | 2006-02-13 00:06 | 展覧会鑑賞記